飲食店経営に失敗する理由

飲食店経営は甘くありません。

「あのお店よりもおいしい料理を出せる」

「自分ならもっとお客を呼ぶアイデアがある」

これだけの考えで飲食店経営を始めようとしていませんか?

それだけでは失敗してしまいます。

「飲食」は身近で選択肢しやすい業種でもありますが、常に飽和しているジャンルでもあり、廃業率18.9%という数字がそれを証明しています。

この廃業率は業種別で見ても1位で、ビジネスとしての厳しさがおわかりいただけることでしょう。

ぶっちゃけ、飲食店経営で地獄を見るパターンも多いです。

私は借金をしなかったので再起できたんですけどね。

損失は1000万円オーバーということで、20代だった私にとっては最悪のケースすら考えられる状況でもありました。

では、飲食店経営に失敗する理由を閉店経験者が語ってみるので、真似しちゃいけないダメなパターンとしてご参考ください。

この中からひとつでも当てはまるのなら……

飲食店経営に失敗する理由

まずは、飲食店経営に失敗する理由を挙げてみました。

飲食店経営に失敗する理由
  • 身近な業種なので素人が手を出しやすい
  • ライバルが多く飽和しやすい
  • 数字よりも料理に意識が行きやすい
  • 料理に飛び抜けたものがない
  • 店の雰囲気や立地が悪い
  • 開業費用が大きい
  • コストカットしにくい
  • 利益率が低い
  • 時間効率が悪い
  • 衛生面のリスクも大きい

ざざざっと挙げてみましたが、やはり飲食店経営の厳しさを感じます。

飲食店は飽和ジャンルなので競争が激しく、素人が感覚で経営してうまくいくほど甘くありません。

数字と経験に基づいた戦略と分析が必要です。

安くて美味しい料理やお店の雰囲気も大切ですが、それは当たり前のことです。

飲食店経営で失敗しないためには、全ての要素をクリアして、他店の上をいく必要があると考えてください。

飲食店は高開業で高廃業の業種として括られているほどです。飲食店の廃業率は業種別1位の18.9%で、全業種の廃業率平均10.2%を大きく上回っています。(廃業率は2011年から2015年の5年間の数字)

身近なジャンルなので素人が手を出しやすい

料理する人

「飲食」と「料理」って毎日触れる身近なジャンルなので、起業の選択肢として浮かびやすいんですよね。

実際に、「料理が得意なこと」がスキルと武器になるので、生活の強みが出せる分野でもあるのですが、それは落とし穴です。

美味しい料理だけでは飲食店経営はできません。

一見、流行っているように見える飲食店でも利益は少なく、赤字で資金を回している状態もあるくらいです。

美味しい料理だけしか武器が無いのなら、閉店する飲食店の仲間入りをしてしまうことでしょう。

飲食店成功のためには、美味しい料理や立地だけではなく、数字の分析といった経営スキルも必要になってきます。どんぶり勘定だけで回せるほど飲食店の利益率は高くありません。

料理が美味しいのは最低条件

料理

料理が美味しいのは、飲食店成功の最低条件です。

しかも、ただ美味しいだけではなくお店の売りとなる料理も必要で、「このお店に来なければ食べられない」という一品を作らなければなりません。

口コミが作れるくらいの料理です。

美味しさで飛び抜けることができないのなら、テレビや雑誌が取材してくれるほどのインパクトを作ってください。

ただ、それだけでもダメなのが飲食店の難しいところです。

私が経営していたお店の場合は、ネットでの口コミも良かったように感じましたし、ローカルテレビや雑誌の取材も受けるほどでした。それでも伸び悩みの末の閉店決断という結末です。

立地とお店構えは最重要

お店通り

飲食店にとって、立地が重要なのは言うまでもないですよね。

「通行量の多い通りに、アピールできるような外観」

これは飲食店に必要な要素ですが、単純に通行量が多ければいいというわけでもありません。

  • ランチとディナーそれぞれの需要
  • 近隣施設からの導線
  • ライバル店の存在

これらの調査も必要です。

店舗物件を選ぶ際に、1週間の曜日昼夜ごとの人通りをカウントするぐらいの分析もしてください。

ライバルとなりそうな飲食店があるのなら、毎日何人のお客さんが来ているのカウントするのも目安になるでしょう。

と言っても、そのライバル店との客の取り合いとなることも考慮してください。

これで少し数字の見込みが立ってくるかもしれませんね。

私の場合は、このカウントは面倒で「国道沿いで人通りも多いから大丈夫だろう」というどんぶり勘定でした。結果的に、ランチに強くディナーに弱い傾向で、利益に伸び悩み閉店です。恥ずかしながら、見込みが甘かったのは間違いありません。

ランニングコストが高く利益率が低い

飲食店はランニングコストが高く、利益率が低いです。

飲食店の利益率が低い理由
  • 原価は30%だけど廃棄も考慮
  • ガス水道電気の光熱費もフル稼働レベル
  • 広めの物件で家賃も高い
  • ピーク時に合わせた人件費は無駄も多い
  • 衛生費用や雑費も多い
  • コストカットも難しい

このように、飲食店の利益率が低くなる理由が勢揃いしています。

接客業でも様々な業種がありますが、飲食店は雰囲気作りもしなければならないために、どれも節約ができないのがネックなんですね。

上場企業を見るとわかりやすいです。

日常では飲食店はそこかしこに存在するのに、上場企業ではその割合はグンと少なくなります。

逆に、日常では聞いたことも無いのに上場してる企業ってたくさんあるじゃないですか。

これは「飲食店が思ったより儲からない」ということを示しています。

「売上は出るけど利益は出ない」

これが飲食店の傾向でもあるでしょう。

利益率を伸ばすためには、食材原価や人件費を削るしかありませんが、それは苦肉の策でジリ貧に繋がるだけです。

素人がビジネスで成功するためには、「原価がゼロに近く、利益率が高い」ということが必要なのですが、飲食店はそれに当てはまりません。

飲食店は開店費用が大きい

飲食店は、内外装の雰囲気作りにこだわるために、開店費用が大きめの業種だと考えてください。

飲食店の開店費用
  • 店舗取得費
  • 内外装工事
  • 厨房機器
  • テーブルやイス
  • 食器や小物等の備品
  • 従業員の制服

飲食店の開業費用の内訳としてはこの辺りがメインになるでしょう。

具体的な費用は店舗規模や出店場所によりますが、個人での開業(20坪30席未満)だと500万円から1000万円ほどが目安です。

ちなみに私の場合は、30坪で30席未満の開業で800万円ほどの開店費用でした。店舗取得費200万円、内外装費300万円、厨房機器200万円、その他で100万円という内訳です。

専用の機器が必要な業種なら、開業費用がもっと必要な場合もありますが、利益率が高いことがほとんどです。

飲食店の利益率の低さで、この費用を回収するのに何年かかることでしょう。

借金もするのなら金利も気にしなければなりませんね。

経営戦略と分析が甘い

アクセスデータ

事業計画を立ててまで、飲食店を開業する方は少ないです。

利益を求めなければならないビジネスなら事業計画は必須でもあるんですけどね。

開店費用が高く、利益率の低い飲食店なら事業計画はなおのこと必要です。

数字の分析をしなければ事業計画を立てられませんし、経営戦略も感覚的なものになってしまいます。

飲食店こそどんぶり勘定をしてはいけない厳しい業種だと考えてください。

事業計画を立てずに起業をしたいのなら、開業費用がかからずに利益率が高い業種を選ばなければなりません。

飲食店は時間効率が悪い

時計

飲食店は時間効率も悪いです。

お客さんがいない時間でも従業員を配置しなければなりませんし、仕込みの時間も必要です。

閉店後に新メニューの研究もしなければならないでしょう。

人を雇うにしても、この時間効率の悪さは無駄な人件費にも繋がってしまいます。

イコール利益率の悪さでもありますよね。

私の場合は、自分は経営側で店長を雇っていた形ですが、これが利益を圧迫しました。他の従業員やアルバイトの人件費についても、かなり効率が悪かったように記憶しています。

食中毒で一発アウトのリスク

衛生環境は飲食店の命です。

食中毒や何かの問題を起こしたとしても、営業停止で済み、環境改善の後に営業再開できるかもしれませんが、その残った印象は最悪です。

客足は間違いなく遠のくことでしょう。

それを悪用する人もいるかもしれません。

人の口に入るものを提供する飲食店は、リスクも高い業種ということは間違いないありません。

どれだけお客の入る条件を整えても、衛生環境の悪さが全てを台無しにしてしまいます。何を差し置いてもまずは衛生環境を徹底してください。

飲食店経営で成功するためには?

ビル

ここまでに飲食店経営の失敗要素を並べてきました。

ちょっとゲンナリかもしれませんね。

しかし、うまく経営しているお店がたくさんあるのも事実です。

まずは、失敗する理由を全て排除してください

失敗要素を無くすことがスタートラインです。

そして、お店の強みをプラスアルファして成功する可能性を強めていきましょう。

美味しさ以外に楽しさを提供する

パンケーキ

料理が美味しいことは失敗しないための重要な要素ですが、そこに楽しい何かを付け加えることも重要です。

お店の雰囲気がいいことはもちろんですが、何かのワクワク感も提供してください。

「あのお店のここがすごい」

と言って広めてもらえるような何かです。

店員の個性、何かの演出、盛り付けのインパクト、色々ありますが料理以外にも一味加えましょう。

特別な何かは、口コミとSNSでの拡散にも繋げてもらえるはずです。

いい物件に出会うまで開業しない

飲食店物件の妥協はご法度です。

いい物件は先に取られているもので、余った物件には失敗した理由があると考えてください。

その失敗した理由をカバーできるのなら、開店候補とできるくらいでしょう。

飲食店の立地は、業績を大きく左右する要素なので、いい物件に出会うまで開業しないくらいの心構えが必要です。

開店費用とは別に、余裕を持ってお店を回せる運転資金も最低半年分は確保してください

利益率を改善する

データ

コストカットが難しければ、利益率のいいメニューに力を入れてください。

ドリンクメニューはその代表で、アルコール類は稼ぎ頭でもあります。

デザート類に力を入れるのもいいですし、客単価を自然に上げると同時に利益率のいいメニューも増やしていきましょう。

事業計画や経営戦略を立てるのが難しいのなら、どんぶり勘定でも利益が出るほどの体制を目指してください。

安売りせずにあえて高単価を狙う

老舗

安くて美味しい料理って嬉しいですよね。

ですが、高くて美味しい料理にも特別な価値が生まれます。

「値段が高い」ということに人は価値を感じるものです。

これは数字を取ったわけではありませんが、安売り路線のお店と高級志向のお店だと、高級志向のお店の方が生き残っている確率は高いはずです

これは元々の資本金もあると思いますが、高級志向の利益率や効率性の良さはビジネスとして優れていることは間違いありません。

その高い値段に見合ったものを提供しなければならないんですけどね。

「安売りをしない」ということは、利益を伸ばして生き残っていく戦略のひとつだと覚えておいてください。

チラシやクーポン雑誌の集客はコスパ悪し

飲食店の集客というと何を思い浮かべますか?

  • チラシ
  • クーポン
  • 広告
  • 口コミ
  • テレビや雑誌

この辺りでしょうか。

確かに、チラシやクーポンでの集客は即効性が見込めます。

しかしコスパは悪く、安売りしたことによって体験としての価値も薄れます。

お店を知ってもらうきっかけとしては優秀なんですけどね。何度も使う手ではありません。

最近では、スマホの地図でお店を探すことが多いので、こういった面白いサービスも出てきました。
お店探しはスマホ地図が当たり前【マップでアップ】

メディアが紹介したくなるインパクトを

テレビや雑誌は、効果が大きいのでぜひ活用してください

話題となる特徴やメニューがあると、割と取材に来てくれます。

広告としてお金を出せば、取材形式でのお店紹介として掲載もしてくれますからね。待っているだけではなく、こちらから仕掛けることも可能です。

そのためには、メディアが取り上げたくなる何かを打ち出してください。

それが特徴的であるほどに、SNSにもアップされて口コミも広がっていきます。

飲食店の売上アップとSNSでのネット集客アイデア

ネットを上手く使うためには、話題となる特徴を打ち出すことです。盛り付けのオリジナリティやインパクトにはぜひこだわってください。

お店のホームページを作る

お店のホームページは必須です。

飲食店なら、「ぐるなびや食べログがあるからいいや」という感覚もあるかもしれませんが、お店のホームページは集客効果としてバカにできません。

月1000円程度の費用で、24時間365日働いてくれるコスパの良さです。ブログでもいいので、ぜひ情報発信の場を作っておいてください。

ホームページ制作は、外注をすれば10万円ほどの費用がかかりますが、簡単に作れるブログで構いません。

今や、ブログは10分で作れちゃいますからね。

お店のブログはもちろん、SNS(Twitter、インスタグラム、Facebook)をひとつは使っておきたいところです。

飲食店ホームページの必要性と無料ブログの作り方

私は飲食店経営からネットに本業を移したということもあり、ブログは本業としても副業としても非常におすすめです。
仮にお店が閉店してしまったとしても、ブログスキルさえあればネット起業も簡単にできてしまいますし、リスク分散としてもブログは非常におすすめです。

飲食店経営者の年収は?

お金

飲食店経営に成功したとして、その年収も気になるところですよね。

なんだかんだでお金はモチベーションのひとつです。

「日経レストランONLINE」の調査によると、個人飲食店経営者の平均年収は627万円となっているようです。

ちなみに、厚生労働省が発表した全世帯平均の所得金額は545万8000円ということで、飲食店経営者の年収は平均よりも高いという結果でした。

ただこれは平均というマジックで、閉店するような赤字店舗と、支店も出せるようなお店との差は激しいものと思われます。

この辺りは、売上と経費を考えるとだいたい見えてきますよね。

あなたの想定する売上(客単価・席数・回転率・営業日数)と経費(原価・家賃・光熱費・人件費・雑費)を差し引いて、残るお金で年収を考えてみてください。

消費税にご注意

お金

税金処理も忘れちゃダメですよ。

所得申告もそうですが、消費税が意外に落とし穴です。

年間の売上高が1000万円を超えると、次々年度から消費税も課税されちゃいますからね

飲食店だと、月に90万円の売上は割と簡単に達成できちゃうので、2年後からはほぼ課税事業者となります。

逆に考えると、開業から2年間は消費税を免除してもらえて、有利な状態で経営することができるということです。

免税事業者ってやつですね。

この免税されていた2年間の感覚でいると、課税事業者になった時に消費税の厳しさを味わうことになってしまいます。

所得税はもちろん、消費税分も確保しておいてください。

飲食店経営に失敗する理由まとめ

飲食店経営に失敗する理由を閉店経験からまとめてみました。

正直言って、飲食店経営は難しいです。

10年前の私は実力と経験不足から失敗しましたが、飲食店を今やってみても成功の確実性は低いと感じます。

というか、インターネット事業の利益率の高さを知ってしまったので、利益が薄くてリスクの高い飲食業にはもう手を出せません。

飲食業にしかないやりがいや楽しさもあると思うんですけどね。

失敗する要素を排除し、成功する要素を積み上げて、ぜひ名店を作り上げてみてください。